「モダン・ソフトウェアエンジニアリング」のセミナーに参加してきました

「モダン・ソフトウェアエンジニアリング」のセミナーに参加してきました

Clock Icon2020.07.22

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はじめに

事業開発部でQAエンジニアをしている長友です。

今日は、ソフトエンジニアリングのセミナーに参加してきましたという投稿です。

参加したセミナーはこちらです。
セミナー: モダン・ソフトウェアエンジニアリングのエッセンス

今回もどんな感じだったのかの報告です。

Modern Software Engineering with Essence

今回のセミナーはタイトルにある「モダン・ソフトウェアエンジニアリング」という本がもとになって開催されています。

鷲崎先生の冒頭の説明後、ビデオ講演が開始されました。 そこに映っておられるのは、なんと Ivar Jacobson さんです。 Ivar Jacobson さんと言ったら、UML やオブジェクト指向ソフトウェア工学で有名な方です。

ビデオ講演の後に登壇された角さんもおっしゃっていましたが、まだまだお元気で、今回のテーマのソフトウェアエンジニアリングについて精力的に活動されているご様子でした。

ビデオ講演の中では、400年後も残っているものを作り上げたいという思いで、また現状では、方法論がプラクティスの流通をできなくさせていて、プラクティスにフリーダムをという内容のお話でした。

ビデオの解説をしてくださった平鍋さんがおっしゃっていたことで、チームが自分たちのやり方を見つけるのにプラクティスを自由に組合せたりすることができるようにしようとしていることに君たちは賛同するかが問われているということでした。

そのために Essence を作り、今は scrum の Jeff Sutherland さんとも研究を進めているとのことでした。

そして、ビデオの最後には、"Welcome to the future, it is here today!" という言葉とともに帽子を取られてご挨拶されていたのがとても印象的でした。

モダン・ソフトウェアエンジニアリングのエッセンス

ビデオ講演に引き続き、本を翻訳されたワイクルの角さんの登壇が始まりました。

登壇の中では、乱立する手法が足を引っ張り合って、手法の作者が決める絶対的なルールが手法の監獄を作ってしまっている。
Marc Andreessenの「ソフトウェアが世界を食べる時代」という言葉を引用して、そんな手法だけを語っていてはだめで、自分たちのチームにあわせて自分たちで手法を作りたい。
そのために、記述する言語を統一して誰もが読めるようにするれば、チームのみんなも理解してくれるということでした。

登壇の中では、翻訳が意外と辛かったご様子で、過度に期待しすぎないように、Essence の位置づけとしては UML と同じくらいの希望と絶望を持つといいとおっしゃっていました。
ただ、あとのパネルディスカッションのあとには、ほかのパネルの参加者の方からかなり前向きなお話を聞いて、今後はもっと希望を持って本について語っていきたいとおっしゃっていたのが印象的でした。

ソフトウェアエンジニアリングと Essence の広がり

3番目に登壇してくださったのは早稲田大学の鷲崎先生で、ソフトウェアエンジニアリングの歴史的話から説明をしてもらいました。

Jacobson さんの「ソフトウェアエンジニアリングはファッション業界のようである」という言葉から、どれも優れているけど、私達が求めているすべてじゃない。

Essence はそんな中の共通基盤として位置づけられるとのことでした。

また Essence の活用状況についても、世界的な話のほかに、日本での事例についても語っていただきました。
日本での事例は、この後のパネルディスカッションのパネラーとしてご参加してくださった方のところの事例で、プロジェクトの失敗事例を Essence を使って分析されている内容でした。

DX時代の到来で Essence の活用がますます広がるのではないか。Essence で変わらない本質を学び、必要な変革を Essence で組み立てるということで締めくくられました。

Essence とソフトウェアエンジニアリングの展望

最後には、パネラーの方々によるディスカッションが行われました。

鷲崎先生を司会に、大手SIerのマネジメントと品質担当のお二方や、Essence の事例をお持ちの方、登壇された角さんに、そして平鍋さんと豪華なメンバーでした。

私はQAエンジニアなので、品質を専門にされている方が加わっていたのがよかったと思います。

各パネラーの方からは、ポジションを説明するお話があり、SIerの方と事例をお持ちの方は Essence を活かしていくといいということでかなり前向きなお話をされていました。

先にも書きましたが、翻訳をされた角さんはこの登壇前までは、意外と前向きではない感じでしたが、皆さんのお話を聞いて気持ちが変わったとのことでした。

Essence では、扱うべきものとやるべきことと必要な能力に関して、「顧客」、「ソリューション」、「活動」という3つの領域で、7つのアルファで構成されることが示されています。
またそれぞれのアルファにはカード化がされています。
そのカードを見ると各アルファの状態によって何ができているかがわかります。
それを使い、自分たちの状態を追うゲームによって、よりよい状態にしていく。またレーダーチャートにその状態の状況を表すことで、状態の進捗の可視化が行えます。

これを使うといろいろとわかることがあるそうです。 Essenceの事例をお持ちのパネラーの方は、これを使って、SIerの社内にあるチェックリストを調べてみたそうです。そうすると、顧客領域のものが少なかったそうです。SIerなので、顧客領域の部分はお客様の方で考えて、依頼のあった内容に対して作るという感じだからではないかとのことでした。ただ、それでいいのかは考えないといけないともおっしゃってました。
Essence が、大きな視点で漏れているところなどがチェックできるのに使えるとのことでした。

ほかのパネラーの方々も同じくおっしゃっていたのは、現状うまくいってないときに使えそうだ。

そうした活用をしていくことで、より効果が発揮されるとともに、方法論のメタモデルとして、今後日本の開発の発展に寄与できるのではないかと。

おわりに

私はまだ全部読めていないので、この連休とかに読み進めてみようと思いました。パネラーの方々のお話を聞いて、実践して使えそうな印象を受けましたので。 私の所属する部署で開発している prismatix の開発でも使える場面がありそうだなと思います。

また、DX時代が到来して、単にDXをすればいいというのではなく、その先の顧客への価値などを見据えて考えられるようにならないといけないと思いました。

品質活動は本来ユーザー目線で考えて、お客様への価値につながる活動だと思うので、いろんな知見を役立てていきたいと思いました。

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